既に、ここ一乗谷では、義影敗走の噂が広まっている。
京にも劣らぬ領内は、略奪する者、逃げ惑う者で混乱状態となっている。
そこに、今回従軍拒否した従弟景鏡が、姿を現した。
「殿、ここは、もう危のうござる」
「落ちられよ」
疲労が充満した顔の義影が静かに答える。
「どこへ行けと申すのじゃ」
影鏡は、東を指差す。
「我が大野亥山城に入られよ」
大野亥山城は、景鏡の居城であり、間もなく織田軍が迫ってくる一乗谷よりは、混乱していない。
義影は、正直諦めかけていた。
義影は、気高い分、粘りがない。
この差が、戦国乱世で明暗を分けた。
暫く時が過ぎ、義影は重い腰をようやく上げた。
「大野へ行こう・・・」
景鏡が先頭となり、義影一向は大野へ向う。
それから暫く、一乗谷の空に真っ赤な炎が上った。

一乗谷朝倉氏遺跡(福井県福井市城戸ノ内町)

⑤悲劇!景鏡の裏切り★洞雲寺(福井県大野市清滝)


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