1.金沢戦国物語・第4章本文
金沢へ入った前田利家(まえだとしいえ)は、北に浅野川、南に犀川と天然の要害を整備。
尾山城を改築し、金沢城(かなざわじょう)を強化。
それと同時に、前田家家臣団の所領配分も進んだ。
横山町(よこやちょう)の横山家、本多町(ほんだまち)の本多家、そして長町(ながまち)に屋敷を構えた長家など。
かれらは後に加賀八家(かがはっか)と呼ばれた。
ここ金沢「長町」は、野村家など屋敷跡が今でも残り、武家屋敷群として武家文化の名残を色濃く残す。
1577年(天正5)、上杉謙信(うえすぎじょう)の能登侵攻にて、織田信長方の畠山氏居城「七尾城」が遊佐続光の裏切りにより落城。
しかし、畠山氏の家臣であった長家三男「長連龍」(ちょうつらたつ)は、後に執念で遊佐続光(ゆさずぐみつ)を討ち取る。
その後、前田家の配下となり数多くの利家の窮地を救い戦功を挙げる。
連龍を当主とする「長家」は利家の死後、利長の時代においても北陸の関ヶ原と呼ばれる「浅井畷の戦い」にて熾烈なしんがりを担うなど数々の戦功をあげる。
まさに、長連龍は、前田家にとっての守護神的存在であった。
⑤伝統文化の礎~土佐守家の祖、前田利政の暗躍★前田土佐守家資料館
2.金沢市の観光スポット『長町武家屋敷群』
北陸新幹線が開通し、外国人観光客の中でも人気が高い『長町武家屋敷跡』(ながまちぶけやしきぐん)。
金沢市の長町には、野村家屋敷跡、最近にぎやかなカフェなどのほかにも、見どころは、たくさんあります。
中でもお勧めは、冬の薦掛け(こもがけ)。
薦掛けとは、土塀を雪や氷から守るためのものであり、兼六園の雪吊りとともに雪国金沢の武家屋敷群を飾る冬の風物詩である。
これを見なければ、雪国金沢を語ることは出来ません。
また、石川県や金沢市の長町のパンフレットでは、薦掛けや、和菓子の説明はたくさんありますが、肝心の長氏の説明が少ないのはとても残念です。
長町(ながまち)の名は、前田家の家臣『長氏』の屋敷があったことに由来する。
そして、長氏は、鎌倉幕府の御家人から能登へ渡り、男爵家となった家柄。
戦国期には、越後の龍「上杉謙信 」の能登襲来、 そして、北陸の関ヶ原にての活躍など、長氏にもスポットを当てていただきたい。
3.前田家の守護神「長連龍」
①畠山七人衆「長続連」「長連龍」父子
長連龍(ちょうつらたつ)は、能登畠山氏の重臣「長続連」(ちょうつぐつら)の三男として生まれる。
父の続連は、畠山七人衆の一人として七尾城(ななおじょう)に君臨。
1576年(天正4)越後の龍「上杉謙信」(うえすぎけんしん)が越中に続き能登に侵攻。
北陸の戦国史において有名な「七尾城の戦い」(ななおじょうのたたかい)である。
畠山氏の七尾城は、日本の三大山城に数えられる堅城として名を馳せていた。
その堅城「七尾城」を相手に、流石の謙信も城攻めを断念。
第一次七尾城の戦いは、七尾城を崩す事が出来ず謙信の撤退で終わった。
さらに、謙信は翌年の1577(天正5)に再度七尾城攻めを行う。
謙信は、戦の天才であり軍神とも称される。
その軍神を相手に、二度の勝利は無いものと感じ取った続連は、織田信長(おだのぶなが)に援軍要請の為、子の連龍を使者として走らせた。
そして、その後に長家の悲劇が始まるのであった。
②七尾城の悲劇、長一族の惨殺
謙信による第二次七尾城攻城戦が始まった。
謙信率いる精強な上杉軍が攻め寄せる中、場内には不穏な動きがあった。
信長に援軍を求めた七尾城方であるが、場内の意見が二つにが分かれていた。
長続連、連龍の親織田派と遊佐続光(ゆさつぐみつ)、温井景隆(ぬくいかげたか)の親上杉派である。
これまで 長家と事あるごとに対立しライバルであった 遊佐、温井が謙信に内通。
城内の裏切りにより流石の七尾城もここに落城。
連龍の父「続連」、兄「綱連」を含む長一族が悉く惨殺された。
③執念の男「長連龍」
僅かな兵ではあるが、織田の援軍を引き連れ能登に帰還した連龍であったが、既に七尾城は既に落城。
援軍は、間に合わなかった。
その数日後、柴田勝家(しばたかついえ)を総大将とする織田の援軍が加賀に入るも、手取川の戦いにて謙信に大敗を喫することとなり能登に進むことが出来なかった。
しかし、連龍は単独で七尾城奪還に向けて動き出す。
途中、遊佐、温井の裏切り、そして長一族の首が晒された事を知った連龍の怒りは凄まじかった。
長家の居城「穴水城」を奪い返すと、越中「神保氏張」(じんぼうじはる)と結び次の行動を開始。
連龍の狙いは、遊佐続光、温井景隆である。
まずは遊佐であるが、謙信の死後に後ろ盾を失った遊佐は、信長に降伏。
信長は、遊佐を許そうとするも連龍は、不服を申し出た。
後に連龍は、遊佐を討ち取ることに成功する。
そして、温井も同じく謙信そして信長の死後、能登に返り咲き連龍と戦うが敗れた。
遊佐、そして温井を討ち取り敵討ちを果たした連龍は、前田利家の家臣となり前田家に尽力する。
小松戦国物語の浅井畷の戦いにおいては、見事にしんがりの大役を果たし利長を助け前田家の守護神として称えられる。
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