“七尾城、危うし”
柴田勝家率いる織田軍が、能登七尾城へ急ぐ。
その行く先には、暴れ川と呼ばれた「手取川」が立ち塞がる。
そして、この川を渡る事は、上杉軍と対峙する事を意味した。
しかし、迷っても始まらない。
しかも、兵力では、上杉軍の数倍の軍勢を引き連れており、優勢な状況は、変わらない。
「全軍、手取川を渡る!!!」
勝家の号令一下、織田軍本隊は、川を渡り始めた。
余りの大軍であるため、流石の上杉軍も本格的に阻止しない。
数刻掛け川を渡り、陣を引いた直後であった。
「七尾城、落城・・・」
七尾城落城の知らせが届いた。
「なに!!!」
「して、上杉本隊は」
物見によると上杉本隊は、既に、松任城に急行中であった。
松任から勝家本陣までの距離は、2、3町程度しかない。
〈まずい・・・〉
あまりにも速い上杉軍の動きに勝家は動揺を隠せなかった。

手取扇状地のジオラマなどが展示されている「白山市立博物館」

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