鹿児島には、迷う義久が戻っていた。
「一層の事、戦って果てるか」
「ここまで、堂々と関白の大軍相手に戦った事で十分ではありませぬか」
義久と、家臣とのやり取りが続く。
「降伏し、お家存続を・・」
家臣が、降伏を勧める。
義久が、暫く考える事数刻。
「川内、泰平寺へ行こう・・・」
義久は、遂に決断した。
既に川内には、秀吉軍が入っており、泰平寺を本陣としている。
そして、泰平寺にて義久が秀吉の前に進んだ。
〈こんな男が関白か・・・猿〉
義久は、プライドが高く、心底、力の違いを悔やんだ。
「薩摩島津守護の義久でござりまする」
〈どうでる?〉
「義久よ、薩、隈、日・・・薩摩を安堵する」
なんと、安堵されたのは薩摩一国のみであった。
しかし、義久はなぜか肩の力が抜けた。
これで、戦は終わったか。
義久が守護となって以降は、快進撃が続いた。
しかし、これが初めての大敗北であった。
〈想えば国の大きさが違いすぎたわ〉
実際には、日の本全てを敵に回したようなもであった。
事実上の、九州制覇戦の終結である。
我に返り、礼を述べ退室し一見落着と想った刹那、義久の胸騒ぎが始まった。

剃髪し秀吉に拝謁する島津義久~甲冑工房丸武(旧川内戦国村)【薩摩川内市】

豊臣秀吉と島津義久による泰平寺(たいへいじ)の和睦


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