六坊賢松寺。
ここには、義影以下、愛息愛王丸とその母小少将、それに義景の母光徳院がいる。
義影は、静かに深く考え込む。
〈なぜ賢松寺・・・〉
考えること数刻、義影は細かに悟った。
〈やはりそうであったか・・・〉
義影は、戦国大名の顔と同時に文化人としての顔を持っている。
そのため、感が鋭い。
考えづらいが、従弟である景鏡の裏切りを悟った。
家臣の高橋景業、鳥居景近へ顔を向ける。
「筆と紙、そして・・・」
「愛王丸をここへ」
〈信長は、朝倉家存続を許さぬであろう〉
「景業、3人だけは命を助けるよう申して参れ」
三人とは、愛王丸、小少将、光徳院である。
そして愛王丸を抱き寄せ、静かに筆を走らせた。
これが義影の辞世の句となる。
それを書き終えると同時に、カサカサと甲冑の音が寺を囲みこんだ。
景近が外へ出て大声で叫ぶ。
「殿は、ただ今仕度をしておる最中である。今暫く待たれよ」
景近が応対した間、義影以下家臣も脇差を抜いた。
そして、静かに朝倉の歴史を終わらせた。

六坊賢松寺(曹源寺)福井県大野市明倫町

勝山の攻防~一向宗の反撃★平泉寺


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