加賀「大聖寺城」の歴史

大聖寺城の歴史は、南北朝時代から始まる。
鎌倉時代に狩野氏によって築かれ、越前「朝倉氏」加賀江沼「一向一揆」間で争われた戦国時代初期、織田信長、豊臣秀吉時代の戦国末期、そして江戸期の大聖寺藩時代と数々の歴史に登場する。
大聖寺城は、小松城とともに南加賀の双璧であった。

大聖寺城があった「錦城山」

関ヶ原の戦いにおける大聖寺城

1600年当時の大聖寺城の城主は、山口宗永である。
この永宗は、何とあの「小早川秀秋」の家臣であった。
慶長の役(けいちょうのえき)の時、秀秋が秀吉の怒りを買い筑前から越前に転封された。
その時に、秀秋の家臣であった宗永も従い大聖寺城主となっている。
しかし、その後は、秀吉の直臣となって正式に大聖寺六万石の国持大名となる。
そして1600年の関ヶ原の戦いと同時期、徳川家康への旗幟を鮮明にした加賀の前田利長が中央へ進軍するために能美「和田山城」から小松、加賀へ侵攻
小松城主の丹羽長重を破り、加賀大聖寺城へ攻めかかる。
山口宗永、修弘、弘定の親子は、利長の降伏勧告を拒否し奮戦するも遂に降参の意思を示すも拒否される。
戦国の男「玄蕃宗永」は、嫡男「修弘」と自害し大聖寺城は陥落する。

大聖寺藩3代当主「前田利直」の休息所「長流亭」(大聖寺城址)

想定したより広大であった「大聖寺城址」を訪ねて

石川県の最南端「大聖寺駅」から大聖寺城址((加賀市指定文化財))までは、道が入り組み簡単には辿り着けない。
城下町の特徴か?
やっとのことで辿り着いた大聖寺城址に到着すると、大聖寺藩三代当主「前田利直」の休息所。
そして、周辺には、寺院群が広がり静かな城下町の雰囲気が漂う。
広くはないが、近くにトイレ付きの駐車場に車を駐車し、大聖寺城址に向かった。
高さ60m程度の錦城山(きんじょうざん)と侮りながらも本丸を目指す。
登り始めひとつ目の郭「東の丸」を超えた「馬出曲輪後跡」に辿り着いた時点で、「ほおー」と思わず声を漏らした。
まだ中間地点であるにも関わらず、城全体の防御機能の高さが窺えたからである。
錦城山を丸ごと要塞化した現在の大聖寺城跡は、歩道も綺麗に整備され郭、曲輪がはっきりとしている。
何といっても城下を見渡しやすい。
正直侮っていました。
その後、本丸跡まで登り下山。
下りは、なかなか厳しい下り階段につき、本丸にて杖代わりの木を探すことをお勧めします。
大聖寺城址の探訪は、そこまで拘らなければ30分程度で楽しめます。

大聖寺城址と本丸櫓台跡

3件のコメント

越前戦国物語プロローグ① | 戦国期、揺れる越前と江沼国境と石川県『南郷城跡』 · 2023年1月18日 4:33 PM

[…] 現在の石川県加賀市南郷の八幡神社に『南郷城跡』が存在した。南郷城(なんごうじょう)は、加賀一向一揆が築いた城として戦国史に登場する。応仁の乱時において細川氏と同盟関係にあった本願寺、すなわち加賀『南郷城』の加賀一揆勢は、反細川であった越前朝倉氏と度々争うことになったのである。戦国史にて登場するのが、1555年(弘治元)加賀一向一揆が守る「南郷城」と、越前の朝倉宗滴(あさくらそうてき)との戦いである。朝倉宗滴=朝倉教景(あさくら のりかげ)は、越前国守「朝倉義景」の家臣として武名を轟かせた武将として知られる。越前の朝倉氏は、越後の上杉氏と呼応し、加賀に乱入。わずか1日で南郷城、千足城、津葉堡さらに大聖寺城を落とす。この戦いが暫く続き、最終的には、双方和議を結び終結した。 […]

木曾義仲が倶利伽羅峠の戦いで先勝祈願した埴生八幡宮 · 2023年2月2日 9:54 AM

[…] 本殿は、前田利長が関ヶ原と同年の小松・加賀出兵時に祈願があり、その後寄進された。祈願書や寄進状は、実際に数十通も残り、社殿は国指定重要文化財に指定されている。加賀の前田利長は、関ヶ原の合戦の折には、徳川家康を旗頭とした東軍に付き、金沢から中央へ向けて出陣。その途中に、小松城の丹羽家。そして、大聖寺城の山口家と戦う事となるが、越前を目前に金沢へ謎の撤退を始める。しかしながら、関ヶ原の合戦にて勝利した徳川家康から、加賀を安堵され、前田家は、その後も埴生八幡に寄進を続けた。 […]

和田山城跡(石川県能美市)★第一章・嵐の前触れ!前田利長「和田山城」に着陣 · 2023年2月21日 11:14 PM

[…] まだ利長の心には、長重がこの大軍をみて降参してくる事を祈っていた。そして、中央へ急ぐ意味も未だに探し続ける。「大聖寺城を、先に落とす」利長のこの一言で、一応の場が収まったが、利政を含む武断派は不服そうである。利政は、渋々承知し部屋を退出した。その姿を見て、利長が苦笑する。 […]

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