① 成政の剃髪
成政は、自身の居所「富山城」を出て安養坊へ向かった。
既に秀吉は、成政降伏の意を受けている。
そして、静かに座り込む。
腕を後ろへ回し、髷に手をかける。
〈これでささなりまさは終わった〉
信長に仕え、赤法衣衆を率いて名を轟かせた、が。
これからは、戦国武将「佐々成政」ではなく、ただの佐々成政となる。
「わしも、他の者同様か・・・」
〈ふっ〉
成政は、薄ら笑った。

② 変わり果てたる世の中に(
道心塚・佐々成政剃髪阯 )
そこに宿命の男、前田利家配下の使者が現れた。
「佐々殿、そろそろ・・・」
〈どのか?〉
敗軍の将は、辛いものである。
成政は、前田兵に従い白鳥城へ向かう。
そして、秀吉の前に静かに姿を現した。
武将成政、最後の言葉である。
武将、佐々成政が辞世の句:
なにごとも 変わり果てたる世の中に 知らでや雪の白く降るらん